記事一覧

短歌連作「夏の収束」

こんばんは。これは「月光」55号に出した連作です。夏は始まったばかりですが収束します。提出したのは去年の12月です。もうめちゃくちゃですね。あと少し直しました。  夏の収束          二三川練めがさめてあなたのいない浴室にあなたが洗う音がしている無音のままパンを焦がしたオーブンの赤外線へ手をさしいれる手のひらにぬくもる林檎この身にもやさしき虎は眠れるものを歩きなれた街に知らない曲がり角があって...

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詩「不死の目ざめ」

  不死の目ざめ     二三川練季節がめぐり終えた夜あまたの流星が月を横ぎってゆく村の篝火はいけにえの犬を焼いている砂まみれの井戸に水が満ちると月はわずかにかたむく村人たちの歌に聴きいるように踊り子の髪はあかく風を燃やしているふと少年たちが声をあげる雲だいや、巨大な鳥だまっ赤な鎧を着た神さまだ夜空を覆うように飛ぶあかい鱗をまとった竜が星を薙ぎはらってゆくつばさに浮いている骨が杭のように月を打つ踊...

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川野芽生「Lilith」の話

  夢と現実の狭間で~川野芽生「Lilith」評~二三川練 川野芽生の第二十九回歌壇賞受賞作「Lilith」を語ろうとすると、例えばフェミニズムや神話について学ばねばならないという思考になる。それはこの連作において「どう描くか」(神話的モチーフ)と「何を描くか」(女性という性への抑圧)とが同等の重量をもって描画されているからだ。 前回の更新で私は作品が生まれる流れについて書いた。簡単にまとめると次のようになる...

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石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』の話

   死は可避であるか? ~石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』について~     二三川練 「人は人を救うことはできない」「言葉は人を変えられない」「人は変わらない」というのは現代に取り憑いている病であり、呪いであり、絶望だ。表現の世界において現代という時代(例えば「ゼロ年代詩」に代表されるような区分)はそこから始まっている。情報化社会というあらゆる外部をその表層において理解させ、分断させて...

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短歌連作「蟻の体液」

こんばんは。月光53号の連作です。一応これの続きです。  蟻の体液     二三川練祖父の死を告げる画面をロックして土曜の朝の性病検査湯灌の儀は行けないと言いLinked Horizon(リンホラ)のライブに今日は恋人と行く新木場の駅のトイレの落書きの「安倍晋三はサリンを撒いた」雑踏をすり抜けてゆく靴底に蟻の体液乾かないままこの人も同じライブに行くだろうそういう服の増えてくる蘇我それが藁ではないことは知っているけど...

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