記事一覧

石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』の話

   死は可避であるか? ~石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』について~     二三川練 「人は人を救うことはできない」「言葉は人を変えられない」「人は変わらない」というのは現代に取り憑いている病であり、呪いであり、絶望だ。表現の世界において現代という時代(例えば「ゼロ年代詩」に代表されるような区分)はそこから始まっている。情報化社会というあらゆる外部をその表層において理解させ、分断させて...

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短歌連作「蟻の体液」

こんばんは。月光53号の連作です。一応これの続きです。  蟻の体液     二三川練祖父の死を告げる画面をロックして土曜の朝の性病検査湯灌の儀は行けないと言いLinked Horizon(リンホラ)のライブに今日は恋人と行く新木場の駅のトイレの落書きの「安倍晋三はサリンを撒いた」雑踏をすり抜けてゆく靴底に蟻の体液乾かないままこの人も同じライブに行くだろうそういう服の増えてくる蘇我それが藁ではないことは知っているけど...

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「ヒロインとヘロイン」五往復目

2017.11.20初谷むいさん 喉風邪をやりました。今年の風邪はなかなかしつこく、連日マスクの下でごほごほやっております。僕は誰であなたは誰なんでしょうかね。顔が見えないので、手紙の向こうにいるのが実は天皇や総理だった、ということも起きるかもしれないし……まあでも僕は前に言ったとおりあなたが現実の初谷さんでも夢の初谷さんでも返事がほしいです。メールという特性上、あなたが「初谷むいを記述する者」という役割さえ...

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「ヒロインとヘロイン」四往復目

2017.11.11こんばんは。先日は失礼しました。会話なので、もっと返事しやすくするよう心がけます。さて、言葉が一番あったという話ですが、僕は賛成しません。僕たちが使っている言葉は人間が生み出したもので、だからこそ不完全です。言葉を覚えてしまった僕たちは、言葉にすればするほど失われるものを知っているはずです。書いた作品はどれもインチキで、だから技術に逃げてしまう悲しみを知っているはずです。僕は人に承認され...

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「ヒロインとヘロイン」三往復目

2017.10.30こんばんは。東京は台風がふたつ過ぎ、あたりは木の葉まみれです。こんな話はいまさらすることでもないのですが、人が気持ちを言葉にしようとしたあまりに意味に拘束される姿が嫌いです。「どういう意味ですか?」と訊かれるたびに心がすり減ります。もちろん、説明すべきときは意味を述べているつもりですが。言葉はもう自然から外れたのでしょうか。僕らのように言葉で事を起こそうという人たちは、やがて意味の亡者た...

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