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学内誌「キリツボ」に載せた短歌

こんばんは。各所で「上半期の自選10首」をやっているため、僕もやろうとしたらまだブログに載せていないやつをみつけたのでそれをやることにしました。
「キリツボ」は僕がいる大学院の学内誌で創作を載せています。学内にしか置かれないのでここで公開します。提出自体は昨年の十月で、なのでそこそこ削ったり変えたりしました。将来的にはもっと削ることになると思います。




  人、気持ち、虚無のこと           二三川練


  カレーに卵

無差別に卵子は精子を受けいれてそういうときも人は神だね

AVが入ってなくて核実験映像集を観るラブホテル

原爆に焼かれるためのマネキンがカメラ目線でほほえんでいる

哀しげなBGMが流れてる カレーに卵を落として食べる


  赤ん坊

曲と曲の合間に聴いた特急の内部に響きつづける叫び

生き物と食べ物の狭間さまよってそのまま胃のなかで溶けてゆく

水死体ではなくそれは赤ん坊 つぎはまちがえたらいけないよ

一回も地球を大事にしたことがないんですよね リンスを捨てる

見えるものみな朝焼けの陰にいて土地には土地の抒情があるか


  面接

 早く着きすぎた
待たされるのは嫌だけど待つことは好きで迷うまで駅前を歩く

ご応募は気軽にどうぞという塾で子どもをみればお金が入る

  「各科目にいずれかのマークをしてください」
◎専門 ○指導可能 △知識あり ×無理

 英語と数学と適性検査
本心の内容に合わないものを選択肢a〜dから選びなさい

 The boy died an hour ago.
死にかけの少年が死に至るまで中学生の語彙で記せり


  前に道、後ろに人

血糊だか血だかわからなくなるだろうそんなに傷を舐めてばかりで

できるだけ枯葉を踏んで歩いてく 後ろに人がいるのがわかる


  ずっと三日月

大切さを知りたいのなら失えとそう言いかえる必要がある

 「みんな死ねばいい」という気持ちになり
  通りすがった後輩に声をかけた
 「いま、僕はみんな死ねばいい
  と思ったのだけど
  その「みんな」のなかに
  君は含まれていると思いますか?」
皆さんの遺品のスマフォから僕の指紋が検出されて初夏

  それと同じくらいの頻度で
 「死にたい」という気持ちになるが
  自殺はしないという確信がある
 「殺したい」のときは本当に殺すかもしれないが
  周囲が心配するのはいつも「死にたい」の方だ
「きしねんりょ」の「ょ」に至るまで「希死念慮」と表示されない予測変換

  殺人は命を奪うこと
  窃盗は物を奪うこと
  強姦は他人の貞操、尊厳を奪うこと
  あらゆる罪は奪うことに等しい
  ならば
ブックオフの(どれでもよかった)一冊のハードカバーに挟む〈謹呈〉

   【illusion】
  1幻覚、幻影、幻
  2思い違い、錯覚、幻想、誤解
月を殴れば月の欠片が落ちてきてそれからずっと三日月である

  失ってもその大切さを
  自覚できないのならば
  そもそもそれを
  得ていたという自覚そのものが
  ひとつの錯覚だったのだろう
いつだってステロタイプな郷愁を抱えて帰りたいのか僕ら


  虚無長歌

 法律を 調べたことは ないけれど これが罪だと いうことは だいたいの人は わかるって だいたいの人が 言ってくるので
共犯者がひとりもいない罪にする メトロノームのテンポを下げる

 喩えれば 氷のなかに 閉じこめた 黄身と白身が あるとして 氷と殻の その密度 命の圧が 高ければ 皮膚いちまいも いらないのだが
エレベーターを知らない人がさっきからドアが開くたび驚いている

 アヒルたちは どれも明るい 鳴き声で 食べられるのを 待っている という解釈を することが 贖罪である というのも 解釈であり 精神は やがて無限を やってゆきます
点字ブロック一つ残らず踏み抜けばどこまでも明瞭な夕焼け

 このたびは こんなところに 来たうえに あんな言葉を 絶叫し 精神病を 悪化させ 肉に名札を 貼りつけて ポルノ映画の 看板に キリスト教の 看板に 都知事候補の 看板に 誤字を見つけて どうもありがとう
いまなにか踏んづけたかな見てみたら床にべったりはりついていた


  肉食日記

七割の鳥はカモメで三割の鳥は肉食 僕をみないで

「タダ飯を食いたいときは葬式か結婚式にもぐりこむんだ」

ダンス・ダンス・レボリューションの矢印が光らないまま僕を指してる

靴下がすこしずれてる違和感をかかえたままで公園を出る

こんなにもめでたい空でどうしよう今日はなんにもしたくないのに


  A面

光にはなれない 眠る 凪いだ皮膚 眠る カナリアの声がする 眠る

裏庭の猫の交尾を見おろして蒸留水を飲んでいる昼

公園にヒヨコの骨が埋めてある 愛されなくてセックスをする

抱きしめてもらえなかった背中からゆっくり土になってゆく夜


  虚無長歌Ⅱ

 書くほどに 死ぬ感情と 読むほどに わく感情の 相剋を 喜べるなら いいけれど 喜べなくて 泣いている人
拾いあげた言葉が白い鳥となり僕の心を追い越してゆく

 死ぬまでの 時間がすこし 長すぎて ほんの一息 つきたくて 知らない人に なりたくて たった一度の 人生に たった一度の 自殺をしよう
神風は仮装の街を吹き過ぎて摩滅してゆく白い頬骨

 何万年 経てば僕らの 感情は コンピューターに 制御され 入力された 言葉だけ 話せるように なることを 悲しまないで いられるのかな
十万年経った地球で僕たちが初めてまわす風車かな

 呼ぶ声が 聴こえたとして そこまでに 辿りつくまで 長すぎて 重力がやけに 重たくて そこまで行けや しないだろうし 今日のところは めしにしましょう
通り魔の刃先のようなさみしさを湛えて僕は都心へ帰る





あと「このカテゴリ分けでわかるんですか?」についてですが、わかりません。ありがとうございました。
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