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2016短歌研究新人賞に出したやつから二十四首

こんにちわ。そういうことです。



  花の烙印        二三川練


経血が産まれるまでの黄昏を二人ぼっちの喫煙席で

満月をつかまえる手とはなす手と肥えた祈りと渇く肉叢

狂うことと醒めることとは同じこと氷のようなベッドのなかで

干し葡萄ひと粒ほどの乳頭に大動脈を撫でられている

恋人はいるよと言えば私にもいるよと言って下る階段

ここからは踏切の外さいはてに灯された火を吹き消すために

精液は胃液に沈み溶かされて発狂ならばいつでもできる

攫われているのか攫っているのかを間違えたまま傘の曲線

からっぽのからだにそそぐアムリタの僕がしんだら一人でわらえ

泣くときと悦ぶときの声色が同じで君に射す人工灯

避妊具に閉じこめられた幾億の精子は須臾を泳ぎつづけろ

廃ホテルひとつ置かれて湖は深雪のような闇をたたえて

短歌(うた)にすらならない創を舐め合ってふたり結句の夜を目覚める

神さまに飢えているから街灯の光をたくわえる雪の裡

唇は花の形にひらかれる 朝とは大学生の放課後

表情を失くせるならばどこまでも手の届かない火傷のように

愛情が欺瞞じゃなくなる予兆して押しつけあった花の烙印

手のひらの尖った石を握りしめ出血はみな内部で起これ

正常位は正常でなく後朝のアイスクリームにスプーンを刺す

じゃあ、ね、とは言わずに君は目を伏せて僕の隣を吹く向かい風

人が死ぬ度に棺は燃やされて天の手前に消える煤煙

死後、僕の周りに誰もいないよう待ってなくてもいいよ待ってて

僕は何者になろうとしたのだろう不意に電車のドアはひらいて

初めから壊れてたんだ右手には片道切符が握られていた
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